
こんばんは、スズヤマです。
最近よく聞く「栄養価が高い食品」。
そもそも栄養価ってなに?
なんか健康になれるの?
管理栄養士が「栄養価の高い食品」について思うことをまとめました。
「栄養価が高い食品」という言葉を栄養士は使わない
そもそも管理栄養士は「栄養価が高い食品」という言葉を使いません。
管理栄養士のいう「栄養価」って「その食品にどれだけの栄養素が含まれているか」的な意味です。
献立をたてる時、その献立の「栄養価」を計算し、必要な栄養素を必要な量とれるか確認したりします。
栄養素ってとってもたくさんあるんですよ。
ビタミンA、B、C、D~、ミネラルと呼ばれる鉄やカルシウム等、もちろん炭水化物や脂質も食品を構成する栄養素です。
この意味でいくと、「栄養価の高い食品」は、「全ての栄養素がめちゃくちゃたくさん入った食品」になってしまいます。
巷でつかわれている「栄養価の高い食品」は、実は非常にふんわりとしたニュアンスの言葉で、「なんか都合のいい栄養素がめっちゃとれる食品ですよ」の意味なことが多いです。
非常に主観的な言葉のため、受け取り手によって意味が変わりかねない言葉なので、個人的に「栄養価が高い!」と謳っている食品には違和感を覚えます。
栄養士・管理栄養士としては、「栄養価が高い」よりも「レモンの10倍のビタミンCとレバーの5倍の鉄あり、栄養素が豊富です」といってもらったほうがわかりやすいです。
じゃあ「栄養価の高い食品」のかわりになんて言ったらいい?
ぜひそれぞれどんな栄養素が豊富なのかを確認して、「ビタミンCが多い食品」というように呼んであげてください。
「栄養価が高い」から「なんだか健康によさそう」ではなく、「ビタミンCが豊富だから、ストレスがあるときによい」等、具体的な栄養素を意識してみてください。
もっと言うと、「豊富」という言葉も主観的な言葉で、「何と比べて豊富か」、「一日の摂取基準の何割か」ということを意識するといいです。
よく「〇〇10個分のビタミンC入り」等の表記がありますが、はたして「〇〇10個分のビタミンC」が自分の体にとって過不足ないか、というのが大事です。
「豆腐100個分のビタミンC!」と書いてあっても、豆腐のビタミンCって100gあたり0mgなので、何個分でも0じゃん...ってなります。
あと、パセリって100g当たりの鉄含量がとっても多いんですよ。
昔、パセリで鉄分補おうと思い、鉄分にして2mgのパセリを加えたんですよ。その量実に3.5g。
まーパセリライスが緑!
パセリって基本乾燥じゃないですか。
乾燥パセリって軽いじゃないですか。
よくある瓶にはいったパセリは5g入りだそうで、その7割を1食分のご飯にぶち込んだんでまぁ緑ですよね。
そして主張するパセリ。
一方、野菜の中で鉄分の王様的に知られているほうれん草は同じ2mgの鉄分をとるのに100gのほうれん草が必要です。
重量だけでみると、乾燥パセリの鉄分含量が非常に多いのはご理解いただけると思いますが、ほうれん草100gはおひたしにしたら小鉢1杯ちょっとです。
緑色のライスを食べるよりも全然お手軽。
という具合で、「100g当たりの重量で豊富」な場合でも、その食品がたくさん食べることが前提のものなのか、そうでないものなのかで違ってきます。
管理栄養士がすすめる不足しがちな栄養素が豊富な食品
まぁなんにせよ、「ある栄養素が豊富な食品」というのは、管理栄養士としても必要に応じてうまくとって欲しいです。
ただ、不足している栄養素っていうのは個人によって異なります。
レバーが大好きで毎日レバニラ!という人に「ビタミンAが豊富な食品」を勧めるのは人によって違いますし、妊婦さんの場合には過剰症の心配もでてきます。
ただ、日本人に不足しがちな栄養素というものはわかっており、以下のようなものが代表的です。
・鉄
・カルシウム
・食物繊維
自炊をがっつりしているような人でも不足しているというデータがでています。
実際、私も献立をたてていて摂取量を満たせず苦労するのが上記3つです。
野菜とか結構もりもりにしても足りなかったりするんですよね。。。
そんな時、便利な各栄養素の豊富な野菜を紹介します!
摂取しやすさで選んでいるので、ぜひ試してみてくださいね。
鉄
レバー
ダントツのレバーです。
レバー100gあたり鉄4mgのすごさ。
しかも、動物性の鉄なのでヒトの体に吸収されやすいです。
ほうれん草
植物性鉄分の王様、ほうれん草。
ほうれん草が鉄分が豊富なのは有名で知っている方も多いと思います。
ほうれん草100gあたり鉄2mgです。
ただ、ほうれん草の鉄は植物性なので、ヒトの体に吸収されにくい形をしています。
ビタミンCにより動物性と同じ形に変わり、吸収されやすくなるので、ビタミンCと同時にとることが推奨されています。
小松菜
栄養士的にとっても重宝するのが小松菜です。
小松菜100gあたり鉄2.8mgです。すごい。。。
野菜で鉄分と言えばほうれん草のイメージが強いのですが、実は小松菜すごく優秀なんです。
ちなみに野菜でカルシウムといえば後述する青梗菜があがってくるのですが、小松菜はカルシウムも豊富で青梗菜も凌駕します。
炒めものでも汁ものでもなんでもござれな汎用性もすばらしく、ぜひお勧めしたい野菜です。
栄養士を目指す人は覚えておいて損はないです!困ったら小松菜!!
カルシウム
牛乳・ヨーグルト
あえて挙げる必要もないくらい王様ですね。
牛乳100gあたりカルシウム110mg。
牛乳のいいところは、好きな人は結構な量を飲めるところですね。
牛乳が苦手な方はヨーグルトでもカルシウムは摂取できます。
ヨーグルト100gあたりカルシウム120mg。
牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる乳糖不耐症は、大人になって発症する人もいるので、無理はなさらず。
木綿豆腐
個人的にダントツおすすめなのが豆腐。
色々な料理につかえて摂取しやすく、価格も安くてどこでも売ってる。
私がそうなんですが、基本的に和食を食べるおうちですと、乳製品ってそんなにとらなかったりするんですよね。
そんなご家庭にはぜひ木綿豆腐を。
たんぱく質もとれて、お肉より安いので節約にももってこい!
青梗菜
野菜界で有名なカルシウム保持者ですね。
青梗菜100gあたり100mg。
小松菜同様、アクが少なく食べやすく、様々な料理に使えます。
小松菜よりも辛味やえぐ味が少ない分、お子さんも食べやすいです。
食物繊維
ひじき
食物繊維界の王様ですね。
最近まで鉄分界でも話題でしたが、鉄鍋で茹でてないとガクっとおちましたね。
それでも鉄分は他の海藻類よりはありますし、たくさん食べられる調理法が多いというのがいいです。
ひじき100gあたり食物繊維は43.4g。すごい...!
乾物ではありますが、1食あたりそれなりの量食べることができるのでやっぱり強いです。
さすが王様。ご飯に入れて炊き込みご飯にしてもおいしいです。
切干大根
こいつもすごい、切干大根。
切干大根100gあたり食物繊維は20.7g。
なによりいいのが、ひじきもそうですが、お弁当のおかずとして作り置き冷凍しても味も食感も落ちないところですよね。
非常に使い勝手がよくて個人的ポイント大です。
あと、切干大根にすると一緒に人参もとれて緑黄色野菜もとれる。
大豆
煮豆ってすごいんです。これまた冷凍小分け保存できるおかずです。
大豆100gあたり食物繊維は17.1g。
戻すのがめんどくさいところが難点ですが、最近はすでに茹でてあるものがパウチになっていて使いやすい!
ひじきに入れたり、スープにしたりして活用しています。
サプリメントもあり
栄養は食品から摂取するのが理想的ですが、いつだって完璧な献立で自炊できるわけではありません。
そんな時頼りになるのがサプリメントです。
サプリメントで怖いのは過剰摂取です。
不足しがちな栄養素だからといって、たくさん飲めば健康になれるわけではありません。
あくまでも食事をメインに補助として扱い、各サプリメントに書いてある摂取基準を守った上で使用しましょう。
鉄・カルシウムは合わせて不足している人も多く、錠剤型にしやすいため、1粒でどちらも摂取できるサプリメントが多くあります。
自分の食生活に合わせて、欲しい栄養素を含むサプリメントを選ぶようにしましょう。
全体的に不足を感じているなら、とりあえずマルチビタミンのサプリメント。
こちらのタイプは1日1錠でいいので、忙しい人向けです。
妊婦さんや妊活中の方は葉酸ベースに+鉄、カルシウムがお勧めです。
厚生労働省が唯一サプリメントの摂取を推奨しているのが、妊娠初期の葉酸です。
鉄、カルシウムも妊娠中大事で不足しがちなミネラルのため、合わせて摂取できると便利です。
注意点は、ビタミンA。
妊娠初期のビタミンA過剰摂取が胎児に影響を与える可能性があることが分かっています。
ビタミンAは食事由来に重きを置き、含まれないサプリメントを選ぶことをお勧めします。

食物繊維は他のサプリメントのようにマルチビタミンに含まれていないことが多いです。
しかし、食物繊維こそ食事由来で全てまかなおうと思うと大変なものです。
難消化性食物繊維は水溶性の食物繊維で、ヨーグルトやみそ汁などに混ぜて手軽に食物繊維を摂ることができます。
あくまでサプリメント。
3食しっかり摂ることを志し、それでも不足していると感じた時に上手に使ってみてください。
まとめ
いかがでしたか?
みんな言うんでついつい使ってしまう「栄養価の高い食品」という言葉。
それって本当にあなたにとって必要な栄養素が必要な分含まれていますか?
なんとなく体に良さそうでなく、自分に今必要なものをぜひ効率よく摂取してください。