
お弁当のおかずに時短料理、節約のためにもなくてはならない冷凍食品。
購入するだけでなく、自分でもつくることができるため、自炊する人にとっては強い味方です。
でも、冷凍すると食感が悪くなったり、冷凍焼けしたりしてなんとなく美味しくないと思ったことがある方も多いかもしれません。
冷凍によって起こる食味の低下はなぜ起こるのか?
美味しく冷凍食品を食べるためにはどうしたらいいか?
管理栄養士目線でざっくり説明します。
なぜ冷凍すると食感が失われるか?
ざっくり言うと、冷凍により食品の組織が壊れることが、食感が悪くなる原因です。
これを防ぐために重要なのが、最大氷結晶生成帯と呼ばれる-5℃~-1℃の温度帯をできるだけ早く通過させることです。
そのため、冷凍食品を作るときは急速冷凍が大切になってきます。
市販の冷凍食品はきちんとした設備下で急速冷凍されていますが、家庭でこれを再現するのはなかなか難しいです。
アルミバットなどを用い、できるだけ早く冷凍できるようにすると防げます。
また解凍するときも同様で、-5℃~-1℃(最大氷結晶生成帯)をできるだけ早く通過させる必要があります。
食材や調理法によって異なりますが、凍ったまま温かい料理に投入できるものは、自然解凍より食味が保たれます。
冷凍したきのこはこのような使い方ができます。
最大氷結晶生成帯(-5℃~-1℃)は冷凍食品を扱う時のポイントで、管理栄養士国家試験にも頻出なので、ぜひ覚えておいてください。
食材別解凍方法
水産物
お刺身など、解凍後生食するものは氷水で解凍するのがベストです。
自然解凍に比べて低温下で解凍可能で、電子レンジ解凍に比べて均一に解凍でき、品質も保たれます。
ただし、時間がかかる解凍方法になりますので、時間に余裕を持って行うか、急に必要な場合は均一さは欠けますが電子レンジ解凍と組み合わせるのもアリです。
そのまま氷水につけると水溶性成分が流出してしまうので、冷凍時使用したパックごとつけるのがおすすめです。
解凍後加熱調理する魚介類は、電子レンジで半解凍させた状態で調理可能です。
加熱調理を行うので、最大氷結晶生成帯をすばやく通過できるため、冷凍による劣化を感じることが少なく、使いやすい食品です。
ただ、脂質の多い魚は特に冷凍焼けしやすくなるので、しっかり密閉して冷凍するようにしましょう。
畜産物
水産物と違い、基本的に加熱調理を前提とした解凍になってくると思います。
畜肉の場合、解凍し終わった時の温度が低い方が微生物によるリスクを防げるため、冷蔵庫内に放置し低温で解凍するのが望ましいです。
完全に解凍してからのほうが調理する際、火の通りもよくなるため、半解凍ではなく、しっかり解凍させましょう。
野菜
野菜の場合、凍ったままの調理が断然おすすめです。
水分が多く、組織も壊れやすいため、自然解凍で完全に解凍してしまった場合、テクスチャーがかなり悪くなってしまいます。
凍ったまま、フライパンで炒める、スープに入れる等の使い方をすると、組織が壊れにくいため軟らかくなりにくく、ドリップも少なくてすみます。
家庭で冷凍する場合は、さっと茹でたり、電子レンジで加熱してから一回使用したい分をラップ等でくるみ、さらにジップロック等の密閉容器に入れて保存しておくと、霜もつきにくく、使いやすくて便利です。
熱を通すことにより、長期保管が可能になります。
ただし、きのこの場合は熱を通す必要はなく、そのまま密閉容器に入れて冷凍可能です。
安い時に購入して冷凍きのこを作っておくと、自炊の時とても便利なのでお勧めです。
果物
冷凍果実は、そのままでも食べられるようになっていることがほとんどです。
また、その後調理する場合は、半解凍で調理もお勧めです。
完全に解凍してしまうと、野菜と同様に組織が壊れてしまうため、食感が悪くなったり、ドリップが多くなってしまうので注意です。
家庭で冷凍する際は、下処理をしたうえで、水分をよく拭き取ってから密閉容器に入れて保管してください。
調理加工済み食品
冷凍焼き鳥だったり、肉団子だったり、中華まんだったり、フライだったりするものたちです。
加熱調理を加えることによって食べられるものたちがほとんどです。
冷凍食品の種類によって、茹でる・蒸す・揚げる・電子レンジ加熱・オーブン加熱など、加熱調理法は異なりますが、加熱調理することにより、食感などを悪くすることなく美味しく食べられます。
一部例外として、自然解凍可能なお弁当用の冷凍食品が最近多くなってきました。
朝の忙しい時間に電子レンジ加熱時間分時短可能で、お弁当の保冷剤変わりにもなる便利なものです。
最大氷結晶生成帯をゆっくり通過する緩慢解凍になってしまいますが、企業努力や使用する食材を上手に選択することにより可能になっています。
緩慢解凍ですが、企業の厳しい基準を乗り越えたうえで、日本冷凍食品協会の基準もクリアしており、細菌検査等はきちんと通っている商品ですので、安心して使用できます。
まとめ
冷凍食品は日進月歩で、昔のように食感が悪いようなものは市販ではほとんどなくなってきました。
それどころか、冷凍食品の種類は増え、より手軽に、より美味しく食べられるようになってきており、忙しい共働き世代や核家族にとっては、強い味方です。
また、調理済み加工食品だけでなく、下処理済みの野菜の冷凍食品も手に入りやすくなり、自炊だけれど「時短」、という需要も満たされるようになってきました。
完璧な料理もすばらしいものですが、自炊の第一歩は日々続けられることです。
便利なものを上手に使い、続けられる自炊を目指しましょう。