
食品業界で需要のある栄養士・管理栄養士。
栄養士・管理栄養士を目指すにあたって、大学や短期大学、専門学校を目指すことになりますが、各学校ごと「他にも取得できる資格」があることを売りにしています。
栄養士・管理栄養士の他に、食品業界にはどんな資格があるの?
実際就職活動に役立つの?
このあたりについてざっくり解説します。
すでに栄養士・管理栄養士として働いており、スキルアップできる資格、転職に有利な資格を探している方は以下の記事をご覧ください。


ざっくりいうと
ざっくりいうと、栄養士としての就職を目指すなら、栄養士・管理栄養士があればとりあえず大丈夫です。
ただ栄養士と管理栄養士は働ける場所が異なってくるので、自分の働きたい場所は栄養士だけで大丈夫か、管理栄養士免許があったほうがいいのかを調べておくと良いです。

その他の資格は、栄養士・管理栄養士と比較すると、栄養業界ではなくてはならない資格ではありません。
しかし、身に付けた知識は栄養士として働く上でも役立ちますし、面接で自信を持って話すことができる資格が栄養士以外にもあるということは強みになります。
また、将来的に栄養士以外で働くという選択をする時がくるかもしれません。
そんな時、資格は新しい道をつくってくれるかもしれません。
たくさん資格取得すれば、それだけ知識の引き出しが増えてプラスになりますが、本命の栄養士・管理栄養士免許が取得できなければ大変です。
栄養士・管理栄養士免許取得を優先しつつ、できる範囲でプラスアルファの強みをつくっていきましょう。

管理栄養士
種類:国家資格
認定団体:厚生労働省
受験資格:管理栄養士養成課程を単位を修めて卒業or栄養士実務経験3年以上(2年制短大の場合)
試験時期:3月上旬
試験方法:択一式筆記試験
資格更新:なし
難易度:★★★
栄養士を目指す方はご存じと思いますが、栄養士よりもさらに幅広い分野で活躍する事が出来る、栄養業界では上位の資格です。
病院や行政などでは管理栄養士でなければできない業務がありますし、近年は企業などでも開発や広報のために管理栄養士を採用しています。

管理栄養士を目指す方は、管理栄養士養成課程のある四年制大学に行くのが一番の近道です。
既に栄養士をお持ちの方や、学生期間を最短にしたい方は、栄養士養成校に通った上で実務経験を積んで受験する方法もあります。

栄養教諭
種類:国家資格
認定団体:文部科学省
試験時期:試験なし。
試験方法:試験なし。栄養士or管理栄養士免許+単位取得
資格更新:なし
難易度:★★★
学校などで食に関する指導をしたり、栄養管理をする資格。
必置義務はなく、各自治体に配置判断は委ねられていますが、多くの自治体で募集されています。
試験はなく、栄養士もしくは管理栄養士に必要な単位を取得して卒業+栄養教諭に必要な単位を修める必要があります。
栄養士もしくは管理栄養士免許を取得でき、かつ栄養教諭を取得できる大学に行くのが一番の近道です。
栄養士・管理栄養士も栄養教諭も実験実習が単位にあるため、通信教育などだけでは取得不可能で、必ず通学する必要がある資格です。
基本的に、短大で取得できるのは二種免許状、四大で取得できるのは一種免許状です。
中学校・高等学校教諭一種免許状(家庭)
種類:国家資格
認定団体:文部科学省
受験資格:所定単位を修める
資格更新:10年
難易度:★★★
家政系の大学ですと、栄養士免許と合わせて家庭科の教員免許が取得できる大学があります。
家庭科の教諭になるためにはなくてはならない資格です。
栄養士として人への教え方のスキルを持つというのは強みですし、家庭科教諭として栄養士の知識は大切です。
実習などあり取得が大変な資格ですが、栄養士としてもプラスになり、栄養士以外の道もつくることができます。
フードスペシャリスト
種類:民間資格
認定団体:日本フードスペシャリスト協会
受験資格:フードスペシャリストが取得可能な大学で単位修得+筆記試験
試験時期:12月
試験方法:択一式筆記試験
資格更新:なし
難易度:★★☆
食べ物の「おいしさ」や「たのしさ」、「おもてなし」を伝える資格です。
広い知識と技術を要する資格であり、幅広い分野での活躍が期待されるそうです。
この資格がないと就職できない場所はないため、就職活動・転職活動が激しく有利になるわけではありませんが、取得のためには食品に関する実験実習等の単位も修める必要があるため、知識や技術の取得ができます。
フードスペシャリスト資格と、2種類の専門フードスペシャリスト資格があり、フードスペシャリスト試験は80%以上の合格率があるため、受験資格さえクリアできれば取得率は高いです。
一方、専門フードスペシャリスト資格は20%前後の合格率です。
フードサイエンティスト
種類:民間資格
認定団体:食品科学教育協議会
受験資格:学校で所定の単位を修めることにより取得可能
試験方法:試験なし(単位取得のみ)
資格更新:なし
難易度:★☆☆
食品の研究開発や品質管理等の現場で活躍を目指す資格です。
フードサイエンティスト協会が認定した学校で所定の単位を満たす必要がありますが、試験はありません。
調理師
種類:国家資格
認定団体:厚生労働省
受験資格:あり(調理師専門学校卒業or2年以上の実務経験)
試験時期:6~11月(地域による)
試験方法:マークシート試験(実技なし)
難易度:★★☆
栄養士・管理栄養士と同じ職場で働くことも多い調理師です。
調理師は調理のスペシャリストで、国家資格でもあり、名称独占資格でもあります。
(他の人が「調理師」を名乗った場合、罰金刑)
取得方法は①調理師専門学校を卒業する事、②2年以上の実務経験を経たうえで調理師試験に合格、の2ルートです。
栄養士・管理栄養士として取得を目指す場合は②の実務経験を利用した調理師試験挑戦ルートになってくると思います。
現職で給食現場で経験を積んでいる方や学生時代に飲食店でアルバイトを多くやられていた方は、すでに受験資格を持っているかもしれません。
(原則週4日6時間勤務で実務経験カウントになるので、勤務先に確認が必要です)
実務経験がない方で、最短での取得を目指す場合は、1年制の調理師専門学校卒業が、試験を受ける必要もなくベストですが、1年の学生生活と学費が必要になります。
名称独占資格ではありますが、業務独占資格ではないため、「調理師のみが可能な仕事」というものは残念ながらありません。
しかし、食を提供する多くの施設で調理師の需要はありますし、なにより、一緒に働く調理師の資格への理解は管理栄養士・栄養士としてはプラスに働きます。
実務経験が要る資格のため難易度★2にしましたが、試験内容自体は難しくないため、既に受験資格がある方は挑戦する価値があると思います。
製菓衛生師
種類:国家資格
認定団体:厚生労働省
受験資格:養成施設1年or菓子製造実務経験2年以上
試験方法:択一式筆記試験
資格更新:なし
難易度:★★☆
製菓に関わるスペシャリスト資格です。
調理師と同じく、必置義務はないものの名称独占資格で、需要のある資格です。
受験資格さえ得てしまえば、筆記試験自体の難易度はそれほど高くありません。
介護職員初任者研修
受験資格:なし
試験時期:130時間の講習+筆記試験
試験方法:筆記試験(実技なし)
難易度:★☆☆
介護職員になるための、基本的な知識や技術を身につけるための資格です。
将来、介護業界で働くことを希望する方は取得しておくと役に立ちます。
旧ホームヘルパー2級資格です。
ゆくゆくは介護福祉士になれるキャリアパスもあります。
筆記試験は落とす試験でなく、講習内容を確認する意味合いのある試験で、合格率は高いです。
健康食品管理士
種類:民間資格
認定団体:日本食品安全協会
受験資格:認定大学で所定単位修得or栄養士管理栄養士免許+通信教育
試験時期:5月、11月
試験方法:択一式筆記試験
資格更新:5年
難易度:★☆☆
健康食品の開発研究や販売等に関する資格です。
認定大学では所定のカリキュラムを修めることにより受験が可能となります。
認定大学以外でも、栄養士・管理栄養士養成校の学生や資格取得者は通信教育を受講することで受験可能です。
栄養士・管理栄養士で修士の学位があれば、通信教育受講なしに受験できます。
食品表示検定
種類:民間資格
認定団体:食品表示検定協会
受験資格:なし
試験時期:初級中級6月、上級11月(2020年度)
試験方法:マークシート
資格更新:なし
難易度:★☆☆
変化する食品表示について学べる資格です。
受験資格が不要のため、特に大学に行く必要なく取得できる資格ですが、これが取得できる資格一覧にあがっている大学は、大学でとりまとめて受験させてくれるため、受験しやすいかもしれません。
初級、中級に関しては専用テキストをしっかり勉強すれば、難しいテストではありません。
HACCP管理者資格
種類:民間資格
認定団体:日本食品保存科学会
受験資格:所定の単位修得+ワークショップ参加
試験方法:試験なし
資格更新:4年
難易度:★☆☆
HACCPや食品衛生に関する知識を有する資格です。
試験はありませんが、所定の単位を修めたうえでワークショップに参加する必要があります。