
暑い季節も終わりましたが、暖房や加湿器などでまだまだ菌にとって過ごしやすい環境は身近にたくさんあります。
死亡事故や後遺症のおそれもある食中毒。
食中毒を防ぐための3原則を紹介します。
ざっくりいうと
ざっくりいうと、「つけない・増やさない・なくす」です。
菌は自然界のあちこちにいて、これをゼロにすることは難しいです。
また、菌によって10個で人間に影響を及ぼす菌もあれば、1000個以上になっても症状が出ない菌もあります。
そのため、最初からいる菌の数(初発菌数)をいくら減らすかということ、今いる菌を増やさないということが大切です。
そのための方法が、以下で説明する3原則です。
①菌をつけない
手を洗う
どんな調理器具よりも食品に触れる手。
この手にもさまざまな菌がいますし、汚れがついていることもあります。
手首や指の股まで綺麗に洗いましょう。
職業的に調理される人は、石鹸での洗浄だけでなく、その後の消毒も有効です。
ただ、いくら綺麗に洗おうと菌がゼロになることはありません。
おにぎりなどは手で握らず、ラップや手袋をかまして握るようにしましょう。
しっかり洗浄
洗える野菜などは、流水でしっかり洗浄しましょう。
しっかりこすり洗いすることで菌の数を減らすことができる場合もありますし、土やゴミを落とすだけでも圧倒的に菌数を減らすことができます。
きゅうりのイボやゴボウのくぼみなど、菌や土が入りやすい部分は気をつけて洗いましょう。
加熱して食べる物・非加熱で食べる物はくっつけない
肉や魚など、加熱して食べる物は、その他のものとくっつけないようにしましょう。
特に、非加熱で食べるようなサラダ野菜などと接触させないようにしてください。
肉・魚・野菜でまな板を分けることも有効です。
食品を扱う現場でも色分けして別のまな板を使用しています。
②菌を増やさない
菌には増殖しやすい温度・湿度があります。
菌によって異なりますが、人間が快適に感じる温度湿度はたいてい菌も大好きです。
菌が増殖しやすい環境で過ごす時間をいかに減らすかが重要です。
出来上がったらすぐ食べよう
調理後すぐに食べることにより、菌が増殖する時間を減らし、菌の増殖を増やすことができます。
加熱調理したものは、冷めるタイミングで菌が増殖しやすい時間帯があります。
お刺身などの冷たくしておきたいものは、室温になると菌が増殖しやすくなります。
その他にも、適切な環境で保存したとしても、時間経過と共に菌は増殖していきます。
単純なことですが、すぐ食べるは最大の予防法です。
保存する時は冷蔵庫・冷凍庫へ
すぐ食べるが一番ですが、そうもいかないことも多いと思います。
その場合はすぐに冷蔵庫または冷凍庫に入れて保存するようにしましょう。
熱いものが冷めていく時、菌が増殖しやすいです。
省エネには反しますが、ある程度冷ましてからではなく、粗熱をとったらまだ熱いくらいのうちに冷蔵庫が安全です。
容器の周りに保冷剤をくっつけておくと、冷蔵庫への負担も軽くできます。
アルミトレーに乗せて冷凍すると、急速冷凍のようになるためお勧めです。
殺菌する
中心部まで加熱する
加熱調理して食べるものは、中心温度がしっかりあがるまで加熱しましょう。
食中毒を引き起こすとして有名なサルモネラや腸炎ビブリオ等は75℃1分の加熱処理により死滅します。
そのため、75℃1分が食中毒防止の一つの基準とされていました。
しかし、ノロウイルスは85度で90秒以上の加熱が必要です。
さらに、ボツリヌス菌やウェルシュ菌等は芽胞を形成するため、家庭調理の加熱では死滅しません。
食品の加熱は殺菌のための大事な工程ですが、全ての菌に対応するわけではないことも覚えておきましょう。
また、75度や85度は茹でているお湯の温度ではなく、食材の中心温度です。
ぐつぐつ沸騰しているお湯で1分茹でたからOKというわけでなく、食品の中心部はまだぬるい状態ということもあります。
加熱して食べるべき食材は、中心温度に気を配りましょう。
調理器具の消毒
菌が付着しているのは食材だけでなく、調理器具も同様です。
調理に使用する器具や台は翌洗浄することはもちろん、定期的に塩素消毒をすることが有効です。
塩素は幅広い菌への殺菌効果が期待できます。
ただし、良く洗い流す必要があること、消毒作業中の換気等の注意が必要です。
また、まな板や包丁などを使用する前後に、熱湯をかけることも有効な殺菌方法です。
使用後のふきん等も10分ほど沸騰水の中で煮沸することが有効です。
つけない・増やさない・なくす
食中毒を防ぐためには、「菌をつけない・増やさない・なくす」が大切です。
基本的なことかもしれませんが、これらをしっかりやることでリスクを格段に減らすことができます。
調理課程で菌を新たに付着させないのはもちろんですが、初発菌数といって、最初から食材に付着している菌をいくら減らすかが肝にもなってきます。
これを減らせると、たとえ時間経過で増えていったとしても増え方がゆっくりになります。
最初からいる菌を減らしていきましょう!